イヤホン紛失と名探偵トニー

イヤホン紛失事件

チェックアウト日の朝。

私は大きなミスを犯した。

イヤホンがない。

出発前に買い替えたノイキャン性能抜群のAirpodspro。

いびき、騒音など諸々の音をシャットアウトしてくれる。

なくても死ぬことはないが、見つけ出さないと

旅のQOLが著しく下がってしまう。

アプリで捜索

見つける方法はあるから、まずは冷静になろう。。

このイヤホンは、アプリで、おおよその現在地を特定することできる。

スマホの画面で位置情報を確認すると、この宿を指している。

ひとまずホッとする。

さらに、アプリからの操作で本体から音を鳴らすことができ、居場所を特定しやすい仕様になっている。

なかなかの優れモノ。

ボタンを押してみる。

ピピピッ。ピピピッ。

近くで音がする。よかった。この部屋の中にあるのは確実だ。

状況整理

「どこで落としたかな」

私がいたのは2段ベッドの上段。

ちょっとばっかしクセがあるベッドで、

壁とベッドのマットレスの間には、5センチ程度の隙間がある。

そこから、充電器やらケーブルやらペンやら何度も落ちてしまうのだ。

ほぼ無人だった下段のベッドで発見するときもあれば、

床とベットの間の物陰で見つかることもあり、

そのたびに隙間にハンガーをいれて取っていた。

ただ今日に限って、下のベットで人が寝ている。

しかも、昨日の夜遅く帰ってきてたから、起こすわけにはいかない。

トニー登場

うーん、困ったぞ。

そんな矢先、誰かが部屋に戻ってきた。

落ち着かなくて、不審がられるくらいならと、

イヤホンをなくしたことを伝える。

「一緒に探すの手伝うよ」

なんて優しんだ…

救世主の名はトニー。

彼はアリゾナ州出身。穏やかな性格の好青年にして旅人。

陽気なトニーとは、別人であることは、念の為伝えておく。

捜索再開

「イヤホンの音を鳴らしてみよう。」

言われた通りにしてみる。

ピピピッ。ピピピッ。

「君から音がするよ」

念の為、服とかばんはすべて探した。

ないよーとジェスチャーで伝える。

頭を悩ませるトニー。

トニーは名探偵

「よし!部屋の外にでてみよう!」

と提案される。

部屋をでて、もう一度鳴らしてみる。

ピピピッ。ピピピッ。

さっきより少し音が大きい気がする。

「やっぱり、君から音がするよ。もう一度ポケットをチェックしてみて!」

ポケットに手を入れる。

この感触は…

ピピピッ。ピピピッ。

ピピピッ。ピピピッ。

静まり返った廊下に、アラート音が徐々に大きく響き渡る。

2人とも目が見開く。

あったぞ!!!!

安堵

見つけていただいたのに、

「イヤホンに振動機能があったら嬉しいよね。」と言う私。

トニーは、やれやれって感じで笑う。

お礼を伝えると、

「絶対君から音すると思ってたよ。見つかってよかったね」

だって。

なんていいやつなんだ。

この写真は、その直後思い出に!と撮らせてくれたもの。

ものを探すときは、前提から疑うことにするよ。ありがとうトニー。