バイクボックスとシアトルの優しい人々

バイクボックスをゲット

マイバイクのポーター🚲を日本に連れ帰ることを決め、バイクボックスを探していた私は、「メロー・フェローズ」という自転車屋にたどり着いた。

直感で入ったその店は、広々とした空間にバイクが並び、ダイナミコのタイヤやスイフトインダストリーズのバッグが置かれていた。偏見でいい、ここは間違いなく良い店だ。

レックスさんが中央、一番右がオーナーのジェシーさん。

迎えてくれたのは、店員のレックスさん。その奥にはオーナーのジェシーさんもいた。私はこれまでの経緯を話した。忙しそうなのに、レックスさんは一つひとつうなずき、じっくり聞いてくれる。そして「バイクボックスはありますか?」と尋ねると、すぐに奥まで探しに行ってくれた。

バイクボックスを頂いた。厚かましいとは思いつつ、「空いているスペースで作業してもいいですか?」と交渉すると、レックスさんがオーナーのジェシーさんに掛け合ってくれた。「閉店までの40分ならいいよ。工具も貸すよ。」と親切にしてくれたのが、ありがたかった。

YouTubeを見ながら作業を始めたが、一向にタイヤが箱に収まらない。閉店の18時が迫っている。ついにレックスさんに、助けを求めた。するとピットから救世主が現れた。メカニックのハルキさんだ。彼は、とてつもない手際であっと言う間に、梱包してくれた。ちなみに「ハルキ」という日本人っぽい名前は、お父さんが兵庫出身だからとのこと。育ちはアメリカで、会話はすべて英語。それでも作業の合間に説明しながら手伝ってくれた。

うまくいかなかった理由は2つ。後輪を外してしまったことと、ハンドル周りを外さなかったことだ。冷や汗をかきながら格闘していたら、ハルキさんが「ここを緩めれば抜けますよ」と教えてくれた。ケーブル類も調整すると、すっとハンドルが外れた。やったー! テープなどの資材まで借りて、無事に梱包を終えることができた。

レックスさんが「タコマ空港までは、ライトレールのウエストレイク駅から一本で行けるよ。駅はここから徒歩10分だから大丈夫」と教えてくれた。いただいたTREKのバイクボックスが心強い。これで日本まで安全に持ち帰れる。最後に、Keep it mellow(ゆるくいこう)と書かれたワッペンをいただいた。メロー・フェローズのみなさん、ありがとうございました!

道行く人の親切

バイクボックスを持って、ウエストレイク駅まで30分。間違って駅を通り過ぎてしまった。けれど、そのおかげで4回も人に声をかけられた。中でも忘れられないのは、小柄なおばさんと娘さん。「手伝わせて!!」と重いバイクボックスを一緒に運んでくれた。坂道で「はあ、はあ」と息を切らしながらも笑顔を向けてくれた。胸がいっぱいになった。

無事に電車に乗れて、ほっと胸をなでおろした。親切にしてくれた人たちのことを思うと、なんだか幸せな気持ちになった。

乗車後、不用心にもぐっすり眠ってしまった。

空港での助け

駅に降りてから、空港まで距離があることを知らず、歩こうとした。すると、輸送担当のおじさんが近づいてきて、乗せなさいと手伝ってくれた。「いいかい。箱が落ちないように抑えながら乗るんだよ!」って。

乗り物楽しかった。もう一往復したい気分。

19時30分。ようやく空港到着。疲れきって眠かったけれど、明日のフライトまでの時間、少しだけ休もう。今日は、シアトルという街がぐっと身近に感じられ、心に残る一日だった。